はるすきてなつきにけらししろたへの / 持統天皇

3字決まり
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百人一首

【原 文】春過ぎて夏来にけらし白妙のはるすきてなつきにけらししろたへの  衣干すてふ天の香具山ころもほすてふあまのかくやま

【上の句】春過ぎて夏来にけらし白妙の(はるすきてなつきにけらししろたへの)

【下の句】衣干すてふ天の香具山(ころもほすてふあまのかくやま)

【決まり字】3字決まり「はるす」

超現代語訳

ん?ヤバくない?春が終わっちゃって、今年も夏が、もう来ちゃってるらしいのよー。
だって、香具山に白い着物が干してあるってよー。

歌のポイント

  • 唯一の女性天皇の歌
  • 爽やかな夏の歌
  • 移りゆく季節を軽やかに受けとめ詠んだ歌

歌の情景

この歌は、季節の移り変わりを詠んだ爽やかな歌です。
時間の流れは、いつの時代もあっという間に過ぎ去っていきますが、それをあえて軽やかに第三者的に受け身で捉えています。
初夏の眩しい太陽の光が降り注ぎ新緑が広がる香具山に、真っ白な着物がくっきりと鮮やかに映る美しい光景が伝わってきます。

語意

【春】1・2.3月
【夏】4・5・6月
【来にけらし】来たらしい
【白妙の】衣(着物)・雪・雲など白を表す枕詞 ここではインパクトのある白を表す
【ほすてふ(ほすちょう)】誰か他人から伝え聞くこと
【天の香具山】持統天皇の宮廷・藤原宮から見える場所にあった奈良県桜井市にある山

歌の分類

【歌集】新古今和歌集
【歌仙】-
【テーマ】夏の歌
【50音】は音

歌を詠んだ人物

【作者】持統天皇(じとうてんのう)
【性別】女性歌人
【職業】天皇(現代職業:天皇)
【生年】645年(大化元年)
【享年】703年1月13日(大宝2年12月22日)

持統天皇(じとうてんのう)は、第41代天皇で、とってもレアな史上3人目となる女性天皇です。本当の名前は鸕野讚良(うののさらら・うののささら)と言い、さらら・ささらの響きからも爽やかな可愛らしいイメージが溢れてきます。

父は、1番目の歌人天智天皇(てんじてんのう)母は、蘇我一族の遠智娘(おちのいらつめ)と政治家一族に生まれました。父の弟で、オジさんにあたる天武(てんむ)天皇と13歳という幼さで結婚し、天武天皇亡きあとに、天皇として即位しました。

国家のルールである飛鳥浄御原律令を作ったり藤原京遷都などと、律令国家体制を強化したお飾りじゃない立派な女性天皇です。昼ドラに登場しそうなくらいにドロドロとした皇位継承争いを経て、孫の文武天皇(もんむてんのう)を第42代天皇として即位させると持統天皇は史上初の上皇となって、文武天皇をサポートしました。病気によってこの世を去りますが、葬儀費用の節約を目的に天皇として初めて火葬された人物でもあります。

持統天皇の人物像として、日本書紀には「深沈で大度」・「礼を好み節倹」・「母の徳あり」とあり、物事に動じずおおらかな心を持つ礼儀正しい倹約家で、母親としても超完璧といった感じのとてもステキな方と書かれています。