百人一首
【原 文】山川に風のかけたるしがらみは 流れもあへぬ紅葉なりけり
【上の句】山川に風のかけたるしがらみは(やまかはにかせのかけたるしからみは)
【下の句】流れもあへぬ紅葉なりけり(なかれもあへぬもみちなりけり)
【決まり字】3字決まり「やまか」
超現代語訳
風で舞った紅葉がね、川の流れを止めて柵を作ってくれているよ
エレガントだね
歌のポイント
- 「やまが ながれ」で覚える
- 風がかけるように、テンポよく覚えたい一首
- 名前は「春」道だけど、「秋」の歌
歌の情景
この歌は、山を流れる川に、風が運んだ紅葉がいっぱいになって柵ができている秋の鮮やかな風景を詠みあげています。美しい紅葉は流れることが出来ずに、どんどん溜まりより華やかな川になっていきます。場所は、近江国(現在の滋賀県)大津の険しい山道で多くの歌で詠まれている人気スポットです。
語意
【山がは】山の中を流れる川
【風のかけたる】風が架けた
【しがらみ】川の流れを変えたり水流を調整するために作る柵 竹や木などを組み合わせて作る
【流れもあへぬ】流れようとしても流れられない
【なりけり】であったよ 「なり」は、断定、「けり」は、詠嘆の助動詞
歌の分類
【歌集】古今和歌集
【歌仙】-
【テーマ】恋の歌
【50音】や音
歌を詠んだ人物
【作者】春道列樹(はるみちのつらき)
【性別】男性歌人
【職業】官人(現代職業:官僚)
【生年】不明
【享年】920年(延喜20年)
春道列樹は、平安時代前期の官僚です。父は諸国の税金を徴収する役割の主税寮として活躍した春道新名はるみちのにいな)です。
列樹は、官僚の育成学校だった文章生(もんじょうのしょう)の後に、大宰府(現在の福岡県)の役人として活躍しました。その後、壱岐(いき・現在の長崎県壱岐市)の役人を命じられますが、残念ながら亡くなってしまいました。
春道家は、大和(現在の奈良県)の国に春道の森や春道の社などがあることから、その辺りの出身だと考えられています。勅撰集に5首入っています。