むらさめのつゆもまたひぬまきのはに / 寂蓮法師

1字決まり
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百人一首

【原 文】村雨の露もまだ干ぬまきの葉にむらさめのつゆもまたひぬまきのはに  霧立ちのぼる秋の夕暮きりたちのほるあきのゆふくれ

【上の句】村雨の露もまだ干ぬまきの葉に(むらさめのつゆもまたひぬまきのはに)

【下の句】霧立ちのぼる秋の夕暮(きりたちのほるあきのゆふくれ)

【決まり字】1字決まり「む」

超現代語訳

通り雨のあとに、しずくが光っている。秋の夕暮れは、葉っぱのしずくをも霧に包みこんでいくよ。

歌のポイント

  • 1字決まり「む」で始まる歌
  • セピアカラーが似合う世界観の歌
  • 出家の理由は「藤原定家」が生まれたから!?

歌の情景

この歌は、雨が降った秋の夕方にたくさん木が生い茂る深い森の中で、出会うことができる幻想的な光景を歌にしています。雨が上がったばかりのその森には、キラキラと光り輝く雨のしずくが木々の葉っぱの上に残っていて、時間とともに霧に包み込まれていく様子を歌いあげています。
霧がゆっくりと現れて、いろんな想い全てを包み込んでくれるような優しいセピア色の世界観がイメージできます。

語意

【村雨】にわか雨。
【露もまだひぬ】露もまだ乾かない。
【まきの葉に】ひのきや杉などの木の葉っぱ。
【霧立ちのぼる】もやの事。春は「霞」で、秋は「霧」と言われる。
【秋の夕ぐれ】物思いをする秋の夕暮れ。

歌の分類

【歌集】新古今和歌集
【歌仙】-
【テーマ】秋の歌
【50音】む音

歌を詠んだ人物

【作者】寂蓮法師(じゃくれんほうし)
【性別】男性歌人
【職業】僧侶(現代職業:お坊さん)
【生年】1139年(保延5年)?
【享年】1202年8月9日(建仁2年7月20日)

寂蓮法師(じゃくれんほうし)は、平安時代末期から鎌倉時代初期を生きたお坊さんです。出家前の名前は、藤原定長(ふじわらのさだなが)といい、父もお坊さんで阿闍梨俊海(あじゃりしゅんかい)といいます。百人一首の撰者で、97番の歌人・藤原定家(ふじわらのさだいえ)のいとこにあたる人物です。

幼い頃に、跡継ぎのいない叔父・藤原俊成(ふじわらのとしなり)の養子となり、皇室で働いていましたが、俊成に跡継ぎの定家が生まれたために、出家してしまいました。

その後、和歌の世界に没頭し第82代後鳥羽天皇のお気に入り歌人となります。そして新古今和歌集の撰者に選ばれましたが、その完成を待たずに天国へと旅立ってしまいました。

勅撰集に117首収められています。