はなのいろはうつりにけりないたつらに / 小野小町

3字決まり
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百人一首

【原 文】花の色は移りにけりないたづらにはなのいろはうつりにけりないたつらに  わが身世にふるながめせしまにわかみよにふるなかめせしまに

【上の句】花の色は移りにけりないたづらに(はなのいろはうつりにけりないたつらに)

【下の句】わが身世にふるながめせしまに(わかみよにふるなかめせしまに)

【決まり字】3字決まり「はなの」

超現代語訳

長い雨が降って、桜が散るように、ワタシの人気だって衰えていくの。
あ〜もうこんなんだったら、もっとチヤホヤされている時に、もっと素直に楽しめば良かったのかしら?
ちょっと虚しいけど、ぜんぜんっ構わないわよ。

歌のポイント

  • 世界三大美女の歌
  • 昔はイケてたけど、今は・・・老けこんじゃったと冷静に自分の姿をみつめている歌
  • 世にある全ての美しいものは、永遠に美しさを保てない事を教えてくれている
  • 有名な歌なので、是非覚えておきたい一首

歌の情景

その昔、美女と褒め称えられモテモテだった小野小町が今は老けこんだ様子を、桜が美しく咲き誇りそして散りゆく姿に重ね合わせています。
今となっては恋とか愛とかいってる年じゃなくなった自分を改めて感じつつ、長い時間の経過を潔く詠んでいます。
第三者的な視点からさり気なくたっぷりと虚しい気持ちを読み上げていますが、悲しさを一切感じない清々しいほどにフレッシュな歌です。

語意

【花】春に咲き誇る桜
【色】ここでは、女性の美しさや年齢のこと
【うつりにけりな】老けこんでしまった
「うつり」は「うつる」の連用形で、美しさのピークをすぎた
「けり」は事実に気づいた
【いたづらに】無駄にむなしく
【よにふる】長い雨が「降る」と、時間の経過を表す「経る」にかけてある
さらに「世(よ)」は男女の愛情を表していて、それが古いと言っている。
つまり愛だの恋だの言う歳ではないという意味
【ながめ】「眺めて」と「長雨」の掛詞
【せしまに】している間に
ここでは、「時間の経過」と「長い雨の間」との意味

歌の分類

【歌集】古今和歌集
【歌仙】六歌仙 三十六歌仙
【テーマ】春の歌
【50音】は音

歌を詠んだ人物

【作者】小野小町(おののこまち)
【性別】女性歌人
【職業】女房(現代職業:キャリアウーマン)
【生年】不明
【享年】不明

小野小町は、世界三大美女と称されている平安時代前期の人物です。美女としてすごく有名ですが、不思議なことに詳しいプロフィールはわかっていません。日本各地にさまざまな伝説が残されていますが、一説によると11番目の歌人・参議篁(さんぎたかむら)こと小野篁(おののたかむら)の娘または孫にあたる人物で現在の秋田県湯沢市で生まれたとされています。

第54代の仁明(にんみょう)天皇のもとで働いていたキャリアウーマンで、情熱的かつ独創的な特長の歌人でもあった小野小町は、とにかくその美貌からモテモテの毎日を過ごしていました。当時のエリート官僚たちから何通ものラブレターをもらい、超イケメンと言われた17番目の歌人・在原業平朝臣からも熱烈なアプローチを受けますが、誰ひとりとして相手にすることなく年老いていった際に詠まれた歌が「花のいろは~」です。

晩年は、美女だった事をイメージできないくらいに老けこみ、最期はドクロ姿となった言われています。京都市山科区小野にある随心院(ずいしんいん)は、小野小町ゆかりのお寺には、たくさんのラブレターを収めた小町文塚 など、遺跡があります。

歌人としては、六歌仙、三十六歌仙にも選ばれており、さらには勅撰集に62首の歌が収められている実力者です。