後撰和歌集

3字決まり

あさちふのをののしのはらしのふれと / 参議等

浅茅生の小野の篠原忍ぶれど(あさちふのをののしのはらしのふれと)あまりてなどか人の恋しき(あまりてなとかひとのこひしき)参議等(さんぎひとし)
2字決まり

しらつゆにかせのふきしくあきののは / 文屋朝康

白露に風の吹きしく秋の野は(しらつゆにかせのふきしくあきののは)つらぬきとめぬ玉ぞ散りける(つらぬきとめぬたまそちりける)文屋朝康(ふんやのあさやす)
3字決まり

なにしおははあふさかやまのさねかつら / 三条右大臣

名にし負はば逢う坂山のさねかずら(なにしおははあふさかやまのさねかつら)人に知られで来るよしもがな(ひとにしられてくるよしもかな)三条右大臣(さんじょうのうだいじん)
2字決まり

つくはねのみねよりおつるみなのかわ / 陽成院

筑波嶺の峰より落つるみなの川(つくはねのみねよりおつるみなのかわ)恋ぞ積もりて淵となりぬる(こひそつもりてふちとなりぬる)陽成院(ようぜいいん)
2字決まり

これやこのゆくもかへるもわかれては / 蝉丸

これやこの行くも帰るも別れては(これやこのゆくもかへるもわかれては)知るも知らぬもあふ坂の関(しるもしらぬもあふさかのせき)蝉丸(せみまる)
3字決まり

あきのたのかりほのいほのとまをあらみ / 天智天皇

秋の田のかりほの庵の苫をあらみ(あきのたのかりほのいほのとまをあらみ)わが衣手は露にぬれつつ(わかころもてはつゆにぬれつつ)天智天皇(てんちてんのう)