かささきのわたせるはしにおくしもの / 中納言家持

2字決まり

百人一首

【原 文】鵲の渡せる橋に置く霜のかささきのわたせるはしにおくしもの  白きを見れば夜ぞ更けにけるしろきをみれはよそふけにける

【上の句】鵲の渡せる橋に置く霜の(かささきのわたせるはしにおくしもの)

【下の句】白きを見れば夜ぞ更けにける(しろきをみれはよそふけにける)

【決まり字】2字決まり「かさ」

超現代語訳

こんなにも夜遅くなっちゃったー!
だって夜空には、かささぎが作った橋に、キレイな星がいくつも見えてるよ。
早く寝なきゃ・・・

歌のポイント

  • 「かさが白い」と覚える
  • 冬なのに、夏の七夕を思わせて、より寒さとロマンティックさを感じさせるわかる人にはわかる歌
  • ヤカモチ・・・焼き餅・・・やきもき・・・
  • テーマは冬だけど、遊びまくって、メッチャ夜更かししちゃった歌

歌の情景

この歌は、相当夜更かしして、冬の夜空に光り輝く美しい星空を詠んだ歌。
エリート官僚だった家持が、なぜこんなにも夜更かししていたのか?
きっと、美女たちとの合コンで、帰りが遅くなったと思われます。
年に1度、織姫と彦星が会う七夕のためだけに、かささぎが天の川に作る橋を歌っているから、きっと美女たちとイチャイチャした楽しい帰り道の気持ちを、さりげなくエレガントに詠みあげたエリート官僚にしか詠めない歌です。

語意

【かささぎの渡せる橋】かささぎは、スズメ目カラス科の鳥。
中国には、七夕にかささぎが翼を広げて天の川に橋を作り、織姫と彦星が会えるようにしたという伝説がある。
【おく霜】霜が降りている様子。
ここでは、白い霜を冬の空に広がる満天の星としている
【白きをみれば】白い光景
【夜ぞふけにける】真夜中になってしまった
「ぞ」と「ける」は、係り結びで、「ぞ」は強意の係助詞
「に」は、完了の助動詞「ぬ」の連用形
「ける」は、過去(詠嘆)の助動詞

歌の分類

【歌集】新古今和歌集
【歌仙】三十六歌仙
【テーマ】冬の歌
【50音】か音

歌を詠んだ人物

【作者】中納言家持(ちゅうなごんやかもち)
【性別】男性歌人
【職業】上級官人(現代職業:エリート官僚)
【生年】718年(養老2年)頃
【享年】785年10月5日(延暦4年8月28日)

中納言家持の本当の名前は、大伴家持(おおとものやかもち)と言い、中納言は名字ではなく、役職の名前です。奈良時代に活躍していたエリート官僚で、歌人としてもブイブイ言わせていた人物でした。父親は同じくエリート官僚の大伴旅人(おおとものたびと)で、母親は丹比 郎女(たじひ の いらつめ)です。大伴家の跡取りとして、幼い頃からエリートに相応しい熱心な教育を受けて成長します。

官僚として働き始めますが、昇進したり左遷されたりを何度も繰り返します。と、いうのも当時の家持は、強大な力を持っていた藤原氏のライバルとされていたのです。その後、中納言というエリート官僚までランクアップしていきますが、仕事で溜まったストレスを和歌で解消するというスマートさを持ち合わせていました。

三十六歌仙の一人でもある家持の歌風は、ラグジュアリーかつスタイリッシュと称され、万葉集には長歌46首短歌432首という多くの歌が収められていることから、万葉集を作る際に大きく貢献した実力者の一人とされています。家持の死の直後、藤原種継(ふじわらのたねつぐ)の暗殺犯の関係者として疑われ、官僚としての大活躍も帳消しにされていましたが、20年後の806年(延暦25年)に、無罪となりました。