百人一首
【原 文】吹くからに秋の草木のしをるれば むべ山風をあらしといふらむ
【上の句】吹くからに秋の草木のしをるれば(ふくからにあきのくさきのしをるれは)
【下の句】むべ山風をあらしといふらむ(むへやまかせをあらしといふらむ)
【決まり字】1字決まり「ふ」
超現代語訳
秋の風が吹くと、草木がしおれるんだけど・・・
だから、あらし(嵐・荒らし)って、言うんだよ。知ってた?
歌のポイント
- 「ふ・むべ ふ・むべ」とリズムよく覚えたい一時決まりの歌
- 漢字遊びを披露した詠めそうで詠めない歌
- 穏やかに嵐を歌った歌
歌の情景
この歌は、歌会で披露された歌です。当時最新ブームだった漢字遊びを取り入れて、「荒らし」と「嵐」の掛詞を使って、「あらし」の語源をテーマにしました。冷たい風が吹いて植物をしおらせるから「荒らし」、そして山風の山・風を組み合わせると「嵐」になると歌いあげました。
語意
【吹くからに】吹くとすぐに
【しをるれば】しおれるので
【むべ】「うべなう」と同じ語源で、ほんとうに・もっともだ・なるほど
【山風】山に吹く風
【あらし】強い風・嵐
【らむ】~だろう 推量の助動詞
歌の分類
【歌集】古今和歌集
【歌仙】六歌仙
【テーマ】秋の歌
【50音】ふ音
歌を詠んだ人物
【作者】文屋康秀(ふんやのやすひで)
【性別】男性歌人
【職業】官人(現代職業:官僚)
【生年】不明
【享年】885年(仁和元年)ごろ
文屋康秀は、平安時代の官僚だった人物です。あまり詳しいことは分かっていませんが、37番の歌人・文屋朝康(ぶんやのあさやす)のお父さんです。
仕事で三河国(みかわのくに・現在の愛知県)に行く時に、当時の恋人だった9番目の歌人・小野小町を誘ったエピソードが残されています。また六歌仙の一人で歌人としても有名な人物です。