百人一首
【原 文】みかの原わきて流るるいづみ川 いつ見きとてか恋しかるらむ
【上の句】みかの原わきて流るるいづみ川(みかのはらわきてなかるるいつみかは)
【下の句】いつ見きとてか恋しかるらむ(いつみきとてかこひしかるらむ)
【決まり字】3字決まり「みかの」
超現代語訳
あの子に、会ったことないのに、なんでこんなにも恋しいの?どーしよっ!困っちゃうなー
歌のポイント
- 紫式部のひーおじいちゃんの歌
- 一度も会ったこともない相手をイメージして恋に恋しちゃってる感じの歌
- 「みかの いつ」と覚える
歌の情景
この歌は、まだ会ったこともない人をどうしてこんなにも恋しく思うのか、自分の気持ちは不思議だと歌っています。当時は男性と女性が直接会う前に、周囲の人から相手がどんな人なのかを聞いてから、歌を送り合いお互いの気持ちを確かめてから初めて会う恋愛スタイルでした。まだ会う前の相手への恋しい気持ちを詠んだ歌です。
語意
【みかの原】京都府加茂町瓶(みか)の原
【わきて】「分きて」と「湧きて」の掛詞
【いづみ川】「出づ水(いづみ)」と「泉川」の掛詞
【いつ見きとてか】いつ会ったというのか 「き」は過去の助動詞
【恋しかるらむ】恋しいのだろうか?「らむ」は推量の助動詞
歌の分類
【歌集】新古今和歌集
【歌仙】三十六歌仙
【テーマ】恋の歌
【50音】み音
歌を詠んだ人物
【作者】中納言兼輔(ちゅうなごんかねすけ)
【性別】男性歌人
【職業】上級官人(現代職業:エリート官僚)
【生年】877年(元慶元年)
【享年】933年3月21日(承平3年2月18日)
中納言兼輔は、平安時代中頃の人物で藤原兼輔(ふじわらのかねすけ)です。25番の歌人・藤原定方のいとこで、定方の娘と結婚しました。また57番の歌人・紫式部は兼輔のひ孫です。
第60代・醍醐(だいご)天皇、第61代・朱雀(すざく)天皇に仕えさまざまな仕事に取り組み、その結果として順調に出世し、中納言のポジションまで登りつめました。29番目の歌人・凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)や35番目の歌人・紀貫之(きのつらゆき)らと、仲良しで当時の歌人の中でも人気者でした。
賀茂川の堤に住んでいたので、堤中納言とも呼ばれています。三十六歌仙の一人で、勅撰集には56首入っています。