百人一首
【原 文】朝ぼらけ有明の月と見るまでに 吉野の里に降れる白雪
【上の句】朝ぼらけ有明の月と見るまでに(あさほらけありあけのつきとみるまてに)
【下の句】吉野の里に降れる白雪(よしののさとにふれるしらゆき)
【決まり字】6字決まり「あさほらけあ」
超現代語訳
あさ、空が明るいから、月かと思った。
でもね、明るさの正体は真っ白に降り積もってた雪だったんだよねー。びっくり!
歌のポイント
- 真っ白な雪景色を詠んだキレイな歌
- 「あさぼらけ」「有明の月」と混乱しちゃうけど、数少ない冬の歌
- 2首ある「あさぼらけ」の一首目
- あさ寝ボケている歌ではない
歌の情景
この歌は、大和国(現在の奈良県)へ仕事で行ったときに詠んだ歌です。
明け方に目を覚ますと、外が明るく月が出ているのかと思ったら、いつの間にか降り積もっていた雪だったというシンプルな光景が詠まれています。
語意
【あさぼらけ】夜が明ける時間 早朝
【有明の月】夜更けに出て、朝になってもまだ見える月
【吉野の里】奈良県吉野 春は桜の名所として冬は雪深い所で有名なスポット
【降れる】降り積もっている
【白雪】うっすらと降り積もった雪
歌の分類
【歌集】古今和歌集
【歌仙】三十六歌仙
【テーマ】冬の歌
【50音】あ音
歌を詠んだ人物
【作者】坂上是則(さかのうえのこれのり)
【性別】男性歌人
【職業】官人(現代職業:官僚)
【生年】860年(貞観2年)頃
【享年】920年(延喜20年)頃
坂上是則(さかのうえこれのり)は、平安時代前期から中期の官僚です。征夷大将軍・坂上田村麿(さかのうえのたむらまろ)の子孫で、歌人としても活躍していました。加賀国の役人や第59代・宇多(うだ)天皇そして第60代・醍醐天皇に仕え、和歌のイベントにも数多く参加しました。
また蹴鞠のプロで、醍醐天皇の前で206回まで蹴り続けご褒美に絹のプレゼントをもらったエピソードが残されています。三十六歌仙の一人で勅撰集には40首入っています。