百人一首
【原 文】あはれともいふべき人は思ほえで 身のいたずらになりぬべきかな
【上の句】あはれともいふべき人は思ほえで(あはれともいふへきひとはおもほえて)
【下の句】身のいたずらになりぬべきかな(みのいたつらになりぬへきかな)
【決まり字】3字決まり「あはれ」
超現代語訳
自分の事を気にかけてくれる人が、思いうかばないまま、私は一人さみしくアナタに恋して死んじゃうんだろうな。あーむなしい。
歌のポイント
- 誰にも相手にされないで、イジけている心虚しい歌
- 「あわれ みの」で、覚える
- 藤原全盛期の基礎を築いた凄い人物が詠んだ歌
- 思いっきり誰かにカマって欲しい時に使いたい歌
歌の情景
この歌は、自分を見捨てて心変わりしてしまった女性への気持ちを詠んだ歌です。
自分の事をわかってくれる人は誰もいなくて、自分はこのまま人生を終えてしまうのだとうと、相当にイジけている気持ちを歌い上げています。
語意
【あはれとも】かわいそうだ
【いふべき人】言ってくれるはずの人
【おもほえで】思われないで
【身のいたづらに】むなしく死んでいくこと
【なりぬべきかな】きっとそうなるんだろうな。「ぬ」は完了 「べき」は推量の助動詞 「かな」は感動の助詞
歌の分類
【歌集】拾遺和歌集
【歌仙】-
【テーマ】恋の歌
【50音】あ音
歌を詠んだ人物
【作者】謙徳公(けんとくこう)
【性別】男性歌人
【職業】公卿(現代職業:政府役人)
【生年】924年(延長2年)
【享年】972年12月9日(天禄3年11月1日)
謙徳公は、藤原伊尹(ふじわらのこれただ)の事です。平安時代の政治を支えた摂政、太政大臣として大活躍し、その後の藤原氏の繁栄を築き上げた人物の一人でもあります。26番目の歌人・貞信公(ていしんこう)は祖父で、50番目の歌人・藤原義孝(ふじわらのよしたか)の父にあたる人物です。
プライベートでは、とてもゴージャスな生活を好み、多くの女性とも恋に落ちたとされる全てを備えた人物とされています。また歌人としても優れた才能を発揮し、後撰和歌集の作成にも貢献しました。