百人一首
【原 文】風をいたみ岩打つ波のおのれのみ くだけてものを思ふころかな
【上の句】風をいたみ岩打つ波のおのれのみ(かせをいたみいはうつなみのおのれのみ)
【下の句】くだけてものを思ふころかな(くたけてものをおもふころかな)
【決まり字】3字決まり「かせを」
超現代語訳
まるで激しい風に吹かれた波が岩にあたって砕け散るように、ボクの心だけが粉々になっている
歌のポイント
- 岩のように堅い女性に恋して、悩んでいる歌
- 風がふくように「み」と「を(お)」のリズムで軽快に覚える
- リストラで遠くに飛ばされた藤原実方について行った優しい男が詠んだ歌
歌の情景
この歌は、愛しい女性に全く相手にされない悲しい気持ちを歌っています。
相手の女性は、岩のように固く冷たい態度で自分はその岩を動かすことができずに、まるで自分の心は風に吹かれた波ようだと詠みあげているなんとも切ない歌です。
語意
【風をいたみ】風が激しい
【岩うつ波の】岩にうちあたる波
【おのれのみ】自分だけ
【くだけて】「岩うつ波」が砕け散るの 「物を思ふ」自分の心が砕け散る
【物を思ふころかな】恋に悩む今日この頃である。「かな」は詠嘆の終助詞
歌の分類
【歌集】詞花和歌集
【歌仙】三十六歌仙
【テーマ】恋の歌
【50音】か音
歌を詠んだ人物
【作者】源重之(みなもとのしげゆき)
【性別】男性歌人
【職業】官人(現代職業:官僚)
【生年】不明
【享年】1000年 (長保2年)頃
源重之(みなもとのしげゆき)は、平安時代中期の官僚で第56代・清和(せいわ)天皇のひ孫にあたる人物です。父は参議の源兼信(みなもとのかねのぶ)で、父の兄・源兼忠(みなもとのかねだた)の養子です。
第63代・冷泉(れいぜい)天皇の皇太子時代にボディガードとして活躍し、その後は相模(さがみ・現在の神奈川県)の国のなどの地方役人となりました。51番目の歌人・藤原実方(ふじわらのさねかた)ととっても仲良しで、実方がリストラにあい陸奥(むつ・現在の東北地方)の国に行った際も一緒に行きました。三十六歌仙の一人で、勅撰集に66首収められています。