百人一首
【原 文】君がため惜しからざりし命さへ 長くもがなと思ひけるかな
【上の句】君がため惜しからざりし命さへ(きみかためおしからさりしいのちさへ)
【下の句】長くもがなと思ひけるかな(なかくもかなとおもひけるかな)
【決まり字】6字決まり「きみかためお」
超現代語訳
君に会えるなら、命なんていらないって思ってた。
でも、恋人になれた今は、この幸せが続いて欲しいんだ
歌のポイント
- 21歳でこの世を去ってしまったイケメンのピュアな恋心を詠んだ歌
- 2首ある「君がため」の1首
- 平安のベジタリアンが詠んだ歌
歌の情景
この歌は、デートの後に女性にあてて詠んだとっても分かりやすいピュアな恋の歌です。
思いを寄せている女性との恋が叶うならば、命なんていらないと思っていたのに、恋人同士になれた今は、ずっとこの幸せが続くようにと長生きしたいと歌っています。
語意
【君がため】あなたに会うために
【惜しからざりしいのちさえ】惜しいとおもわなかった命でさえ
【長くもなが】長くあってほしい いつまでも生きていたい 「もがな」は、願望の終助詞
【思ひけるかな】思うようになった
歌の分類
【歌集】後拾遺和歌集
【歌仙】-
【テーマ】恋の歌
【50音】き音
歌を詠んだ人物
【作者】藤原義孝(ふじわらのよしたか)
【性別】男性歌人
【職業】官人(現代職業:官僚)
【生年】954年(天暦8年)
【享年】974年10月4日(天延2年9月16日)
藤原義孝(ふじわらのよしたか)は、平安時代中期の官僚です。父は45番目の歌人・謙徳公(けんとくこう)で、幼いころよりイケメンで歌人としても優れているとし、高い評判を得ていました。熱心に仏教を信仰していたことから、お肉やお魚を食べないベジタリアンでした。
第64代円融(えんゆう)天皇、そして後の第65代花山(かざん)天皇に仕え日々活躍していましたが、当時流行してた天然痘(てんねんとう)に罹り、兄・挙周(たかちか)と同じ日に、21歳の若さでこの世を去りました。