百人一首
【原 文】やすらはで寝なましものをさ夜更けて かたぶくまでの月を見しかな
【上の句】やすらはで寝なましものをさ夜更けて(やすらはてねなましものをさよふけて)
【下の句】かたぶくまでの月を見しかな(かたふくまてのつきをみしかな)
【決まり字】2字決まり「やす」
超現代語訳
来ないって、わかってたらすぐに寝てたのに
来るって言葉を信じてずっと待ってたら、月が沈む朝になっちゃった
歌のポイント
- 赤染衛門だけど、女性
- 平安の良妻賢母が姉妹の代わりに詠んだ歌
- デートをすっぽかした恋人・藤原道隆に、やんわりと反論している歌
歌の情景
この歌は、夜の間ずっと恋人を待っていたのに結局朝まで恋人が来なかったときの気持ちを詠んだ歌です。恋人を待っていたのは、赤染衛門の姉妹で、姉妹の代わりになんとも切ない気持ちを歌に込めました。
語意
【やすらはで】ぐずぐずしないで
【寝なましものを】寝てしまえばよかった。「な」は完了の助動詞「ぬ」の未然形。「まし」は現実とは反対に仮定した意味の助動詞。「ものを」は逆接的詠嘆の終助詞。
【さ夜ふけて】夜がふけて
【かたぶくまでの月】西に沈む月
【見しかな】見たよ
歌の分類
【歌集】後拾遺和歌集
【歌仙】-
【テーマ】恋の歌
【50音】や音
歌を詠んだ人物
【作者】赤染衛門(あかぞめえもん)
【性別】女性歌人
【職業】女房(現代職業:キャリアウーマン)
【生年】956年(天暦10年)頃
【享年】1041年(長久2年)頃
赤染衛門(あかぞめえもん)は、平安時代中期の人物で藤原道長の妻・倫子(りんし)と、その娘で、一条天皇の奥さんの藤原彰子(ふじわらのしょうし)の元で働いていたキャリアウーマンです。
赤染衛門が生まれる直前に母が赤染時用(あかぞめのときもち)と再婚したために、本当の父親は40番の歌人・平兼盛(たいらのかねもり)ではないかとされています。皇族への教育係りとして活躍していた大江匡衝(おおえのまさひら)と結婚し、ラブラブな結婚生活を送りました。
世間でも評判の仲良し夫婦で、子供が病気の際は和歌を奉納するなど家族思いで良妻賢母としても有名でした。