百人一首
【原 文】寂しさに宿を立ち出でてながむれば いづくも同じ秋の夕暮れ
【上の句】寂しさに宿を立ち出でてながむれば(さひしさにやとをたちいててなかむれは)
【下の句】いづくも同じ秋の夕暮れ(いつくもおなしあきのゆふくれ)
【決まり字】1字決まり「さ」
超現代語訳
どこも同じなんだね。秋って季節は寂しいんだね。
歌のポイント
- 一字決まり「さ」の歌
- 繊細さんの詠んだセンチメンタルな秋の歌
- 「隣の芝は青い」ことを教えてくれているような歌
歌の情景
この歌は、秋の夕暮れ時になんとも言えない寂しさに襲われて、賑やかさを求めて外に出てみたけれど、結局誰も居なくてもっと寂しさを募らせた歌です。
比叡山で修行していた頃は、多くの修行僧がいて寂しいと感じたことはなかったけれど、いま一人で暮らしている場所には誰も居ない寂しさを歌い上げています。
語意
【さびしさに】さびしくてたまらない。
【宿をたち出でて】我が家を出て。
【ながむれば】ながめると。
【いづこも同じ】どこへ行っても同じ
歌の分類
【歌集】後拾遺和歌集
【歌仙】-
【テーマ】秋の歌
【50音】さ音
歌を詠んだ人物
【作者】良暹法師(りょうぜんほうし)
【性別】男性歌人
【職業】僧侶(現代職業:お坊さん)
【生年】不明
【享年】不明
良暹法師(りょうぜんほうし)は、平安時代中期のお坊さんです。残念なことに詳しいプロフィールはわかっていません。京都八坂神社のリーダーとして活躍後に、京都・大原に住み、晩年は京都市北区にある雲林院(うんりんいん)で過ごしたと伝えられています。歌人の友だちに賀茂成助(かものなりすけ)・津守 国基(つもりのくにもと)・橘為仲(たちばなのためなか)・素意法師(そいほうし)らがいます。
勅撰集に32首収められています。