百人一首
【原 文】夕されば門田の稲葉訪れて 蘆のまろ屋に秋風ぞ吹く
【上の句】夕されば門田の稲葉訪れて(ゆうされはかとたのいなはおとつれて)
【下の句】蘆のまろ屋に秋風ぞ吹く(あしのまろやにあきかせそふく)
【決まり字】2字決まり「ゆう」
超現代語訳
秋だね。秋の夕方は、稲の葉が揺れた音色と一緒に風が入ってくるんだよね。
歌のポイント
- 70番の歌人・良暹法師にこんな秋もあるんだよ!と、教えてあげたい歌
- さわやかでおだやかな秋の歌
- 夕飯の美味しそうな匂いが漂ってきそうな歌
歌の情景
この歌は、源師賢(みなもとのもろかた)の別荘で開かれた歌会で「田舎家の秋風」という渋いテーマで詠まれた歌です。
目の前に広がる美しい田園風景を楽しみながら、爽やかで穏やかな秋風が稲の葉を揺らしている様子を歌い上げています。
語意
【夕されば】夕方になると
【門田の稲葉】家の前に広がる田園
【おとづれて】音をたてること。
【蘆のまろや】「蘆」は水辺に生息する多年草。「まろや」は、萱や蘆で屋根をまるく吹いた小屋。
【秋風ぞふく】秋風が吹く
歌の分類
【歌集】金葉和歌集
【歌仙】-
【テーマ】秋の歌
【50音】ゆ音
歌を詠んだ人物
【作者】大納言経信(だいなごんつねのぶ)
【性別】男性歌人
【職業】上級官人(現代職業:エリート官僚)
【生年】1016年(長和5年)
【享年】1097年2月20日(永長2年閏1月6日)
大納言経信(だいなごんつねのぶ)は、源経信の事で、平安時代後期を生きた人物です。
父は源道方(みなもとのみちかた)で、母は源国盛(みなもとのくにもり)の娘で、源氏の中でもエリート宇多源氏の一族です。経信は、順調に出世コースにのり大納言のポジションまで登り詰めました。博学多才と人々から言われ、55番の歌人・大納言公任(だいなごんきんとう)とよく比較されこの二人は「三船の才」と呼ばれました。勅撰集に87首収められています。