ちきりおきしさせもかつゆをいのちにて / 藤原基俊

4字決まり

百人一首

【原 文】契りおきしさせもが露を命にてちきりおきしさせもかつゆをいのちにて  あはれ今年の秋もいぬめりあはれことしのあきもいぬめり

【上の句】契りおきしさせもが露を命にて(ちきりおきしさせもかつゆをいのちにて)

【下の句】あはれ今年の秋もいぬめり(あはれことしのあきもいぬめり)

【決まり字】4字決まり「ちきりお」

超現代語訳

あれ?「任せとけ!」言ってくれたのに、うちの子選ばれてないよ。また秋がただただ過ぎて行くなー。

歌のポイント

  • 「任せとけ!」を信じた子を思う親心が詠んだ歌
  • 76番の歌人・法性寺入道前関白太政大臣(ほっしょうじにゅうどうさきのかんぱくだじょうだいじん)へ詠んだ恨みの歌
  • 藤原道長のひ孫が詠んだ「秋」の歌に感じるけど「雑」の歌

歌の情景

この歌は、なんとも言葉にならない切ない気持ちをわざわざ詠みあげた恨みの歌です。基俊は、お坊さんをしている息子・光覚(こうかく)が、毎年秋に開催される維摩経(ゆいまきょう)を教えるイベント維摩講(ゆいまこう)で、名誉ある講師になりたい!と希望しているのに、毎年選ばれませんでした。そこで、基俊は、コネを頼りに76番の歌人・法性寺入道前関白太政大臣へお願いしました。すると「任しておけ!」と約束してくれたのに、結局は選ばれずその時の恨みの気持ちを歌に込めて詠みあげました。

語意

【契りおきし】約束していた。
【させもが露を】「させも」はよもぎの事。「露」はよもぎにとって恵の意味があり、ここでは「任せておけ!」と言った事を意味する。
【いのちにて】頼りにして。
【あはれ】ああ。感動詞で憂い嘆く意味。
【秋もいぬめり】秋は過ぎ去ってしまうようだ。

歌の分類

【歌集】千載和歌集
【歌仙】-
【テーマ】雑の歌
【50音】ち音

歌を詠んだ人物

【作者】藤原基俊(ふじわらのもととし)
【性別】男性歌人
【職業】官人(現代職業:官僚)
【生年】1060年(康平3年)
【享年】1142年2月13日(永治2年1月16日)

藤原基俊(ふじわらのもととし)は、藤原俊家(ふじわらのとしいえ)の4男で、藤原道長のひ孫にあたる平安時代後期の人物です。

自分の才能を自慢して人をバカにする性格だったことから、道長のひ孫なのに、あまり出世できませんでした。歌人として古風な作風を好み、新しい和歌を好む74番の歌人・源俊頼と議論したがるほどに熱心でしたが、相手にされることはありませんでした。

晩年、83番の歌人・藤原俊成(ふじわらのとしなり)を弟子に迎え、古風で伝統的な歌の指導をしました。勅撰集に107首収められています。