うかりけるひとをはつせのやまおろしよ / 源俊頼朝臣

2字決まり

百人一首

【原 文】憂かりける人を初瀬の山おろしようかりけるひとをはつせのやまおろしよ  激しかれとは祈らぬものをはけしかれとはいのらぬものを

【上の句】憂かりける人を初瀬の山おろしよ(うかりけるひとをはつせのやまおろしよ)

【下の句】激しかれとは祈らぬものを(はけしかれとはいのらぬものを)

【決まり字】2字決まり「うか」

超現代語訳

あの子と恋人になりたくって、神さまにお願いしたのに余計にもっと嫌われちゃった。

歌のポイント

  • 「うっかり ハゲ」と覚える
  • 恋の成就を神頼みしたのに、逆にもっと嫌われてしまった歌
  • 100首の中で一番コミカルな歌
  • 自分の名前を歌にしたチャーミングな人物が詠んだ歌

歌の情景

この歌は、「祈(いの)れども逢(あ)は(わ)ざる恋(こい)」をテーマに詠まれた歌です。歌会で詠みあげたイメージの恋を描いた歌ですが、神頼みしたのに叶わない、叶わずに心が荒れ狂う激しさをコミカルに歌い上げています。

語意

【憂かりける人】自分の愛にこたえてくれない人。
【初瀬】奈良県桜井市の地名。ここにある長谷寺の観音様。
【山おろし】山の上から吹きおろす風。
【はげしかれ】はげしくあれ。「山おろし」の縁語で、風が「はげしかれ」と憂かりける人の心境が「はげしかれ」との掛詞。
【祈らぬものを】祈らなかったのに。

歌の分類

【歌集】千載和歌集
【歌仙】-
【テーマ】恋の歌
【50音】う音

歌を詠んだ人物

【作者】源俊頼朝臣(みなもとのとしよりあそん)
【性別】男性歌人
【職業】官人(現代職業:官僚)
【生年】1055年(天喜3年)
【享年】1129年1月22日(大治4年1月1日)

源俊頼朝臣(みなもとのとしよりあそん)は、源俊頼で平安時代後期の人物です。71番の歌人・大納言経信(だいなごんつねのぶ)の3男で、85番の歌人・俊恵法師(しゅんえほうし)の父にあたります。

雅楽を演奏する際に使用する管楽器の篳篥(ひちりき)の優れた奏者で、第73代・堀河天皇のお気に入りでした。そこから多くの歌会に参加するようになり、歌の才能を見いだされ第72代・白河天皇に「金葉和歌集」の作成を命じられました。

歌人として新しい感覚の持ち主で、75番の歌人・藤原基俊(ふじわらのもととし)にライバル視され、何度も論争を持ちかけられましたが、まったく相手にしませんでした。

そんなある日の歌会で、歌を詠みあげる役目の講師が、俊頼の歌に詠み人の名前が無い事に気が付き「名前をわすれてない?」と質問すると「そのままお読みください」と答えました。仕方なく講師が歌を詠みあげると「卯の花の 身の白髪とも 見ゆるかな 賤(しづ)が垣根も としよりにけり」と、歌に名前がよみこまれていたというチャーミングなエピソードが残っています。

また歌についてまとめ上げた「俊頼髄脳」(としよりずいのう)を書き上げ、後世に大きな影響を与えました。勅撰集に209首収められています。