わかそてはしほひにみえぬおきのいしの / 二条院讃岐

3字決まり

百人一首

【原 文】わが袖は潮干に見えぬ沖の石のわかそてはしほひにみえぬおきのいしの  人こそ知らねかわく間もなしひとこそしらねかわくまもなし

【上の句】わが袖は潮干に見えぬ沖の石の(わかそてはしほひにみえぬおきのいしの)

【下の句】人こそ知らねかわく間もなし(ひとこそしらねかわくまもなし)

【決まり字】3字決まり「わかそ」

超現代語訳

誰も知らないでしょうけど、私の袖はいつも涙に濡れて、乾く時間もないのよ。可哀そうでしょ?

歌のポイント

  • こんなにいつも泣いてたら、顔が別人になっちゃいそうと心配になる歌
  • 「袖」「ひとこそ」で他の歌と混乱しないようにしたい歌
  • 第78代・二条天皇に仕えたベテラン女流歌人の歌
  • 思い抱いている恋心を隠し通そうとしている切ない歌

歌の情景

この歌は、「石に寄する恋」をテーマに詠まれた歌です。私の袖は、海が引き潮になっても姿を表さない沖の石で、いつも涙に濡れていると強烈なインパクトを与えています。さらに、「沖の石」は、誰にも知られることのない存在なので、抱いている想いは「人こそしらね」と、隠し通そうとする悲しく切ない恋心を詠みあげています。

語意

【わが袖は】私の袖。「袖」=「涙に濡れた袖」となり、涙でぬれた私の袖。
【潮干に見えぬ】潮が引いてもまだ見えないほどに沖にある。「ぬ」は打消しの助動詞「ず」の連体形。
【沖の石の】沖にある石のように。
【人こそしらね】人は知らないが。「こそ」は強意の係助詞。
【かはくまもなし】かわく時間もない。

歌の分類

【歌集】千載和歌集
【歌仙】-
【テーマ】恋の歌
【50音】わ音

歌を詠んだ人物

【作者】二条院讃岐(にじょういんのさぬき)
【性別】女性歌人
【職業】女房(現代職業:キャリアウーマン)
【生年】1141年(永治元年)頃
【享年】1217年(建保5年)以降

二条院讃岐(にじょういんのさぬき)は、平安時代末期から鎌倉時代初期を生きた人物です。武士としても歌人としても活躍した鵺(ぬえ)退治で有名な弓の名人・源頼政(みなもとのよりまさ)の娘です。

第78代・二条(にじょう)天皇に仕えます。父と一緒に歌会に参加し歌人としての腕前を磨きあげました。二条天皇亡き後は、藤原重頼(ふじわらのしげより)と結婚しました。

その後、第82代・後鳥羽(ごとば)天皇の奥さん・九条任子(くじょうにんし)に仕えました。父・頼政が平家打倒のために立ち上がった以仁王の挙兵によって敗れると父を弔うために出家しました。この「わが袖は~」は、讃岐の代表歌となり、「沖の石の讃岐」と呼ばれるほどになりました。勅撰集に74首収められています。