なにはかたみしかきあしのふしのまも / 伊勢

4字決まり

百人一首

【原 文】難波潟短き蘆のふしの間もなにはかたみしかきあしのふしのまも  逢はでこの世を過ぐしてよとやあはてこのよをすくしてよとや

【上の句】難波潟短き蘆のふしの間も(なにはかたみしかきあしのふしのまも)

【下の句】逢はでこの世を過ぐしてよとや(あはてこのよをすくしてよとや)

【決まり字】4字決まり「なにはか」

超現代語訳

生きて行けないワ。
アナタにちょっとも会えないまま、一生過ごせって、いうの?イヤよムリよ。
どーしてくれるの??

歌のポイント

  • 和歌界のプロフェッショナルが詠んだかなり重すぎる失恋のウザい歌
  • 88番の歌と混乱しないように「なにわが あは」で覚える
  • 昼ドラみたいなドロドロの人間関係の中で、クールに生きた知的な美女が詠んだ歌

歌の情景

この歌は、当時の恋人・藤原仲平(ふじわらのなかひら)に、仕事を理由に「会えない」とフラれた時に詠んだ歌です。
ほんの僅かな時間を「みじかき蘆」を使って上品に表現しつつも、結局は恨み辛みを訴えている仲平にとってはとてもウザい歌です。

語意

【難波潟】現在の大阪湾の入り江 昔は干潟だった場所 蘆難波江とも呼ばれる
【みじかき】「ふしの間」にかかる
【蘆】葦 イネ科の多年草
【ふしの間】節と節の間で、短時間
【逢はで】逢わないで
【すぐしてよ】過ごしてしまえ
【とや】と言うの?

歌の分類

【歌集】新古今和歌集
【歌仙】三十六歌仙
【テーマ】恋の歌
【50音】な音

歌を詠んだ人物

【作者】伊勢(いせ)
【性別】女性歌人
【職業】女房(現代職業:キャリアウーマン)
【生年】872年(貞観14年)頃
【享年】938年(天慶元年)頃

伊勢は、平安時代に活躍した歌人で、皇室で働いていた知的でクールなキャリアウーマンです。現在の三重県・岐阜県・愛知県の一部だった伊勢の国の役人をしていた父・藤原継蔭(ふじわら のつぐかげ)から、伊勢と呼ばれています。

9番目の歌人・小野小町の次に美しい女性としても知られ、また歌人として、35番目の歌人・紀貫之の女性バージョンと言われるほどのスキルを持ち合わせていたとてもイケイケな女性です。恋多き女性としても有名で、まるで昼ドラのように、たくさんの男性と関係を持っていたようです。

第59代・宇多(うだ)天皇の奥さん・藤原温子(ふじわらのおんし)に仕え働いていました。その後、温子の異母兄の藤原時平(ふじわらのときひら)そして、異母弟の藤原仲平(ふじわらのなかひら)とも恋人関係となります。

恋をしてはフりフラれを繰り返し、なんと宇多天皇の奥さんとなり皇子を生んだ後に、極め付けは宇多天皇の第4皇子・敦慶親王(あつよししんのう)と結ばれ、歌人として有名な娘・中務(なかつかさ)を生みました。晩年は、幸せから遠ざかっていたようで生活の為に家を手放したという歌が残されています。三十六歌仙の一人で、時代を代表する歌人です。