百人一首
【原 文】名にし負はば逢う坂山のさねかずら 人に知られで来るよしもがな
【上の句】名にし負はば逢う坂山のさねかずら(なにしおははあふさかやまのさねかつら)
【下の句】人に知られで来るよしもがな(ひとにしられてくるよしもかな)
【決まり字】3字決まり「なにし」
超現代語訳
誰にも知られないで、君に会いたい!
だから、秘密アイテム「逢坂山のさねかづら」をゲットしたい!
歌のポイント
- 「なにし ひとに」で覚える
- 秘密アイテムの「逢坂山のさねかづら」をゲットして君に会いたいと歌っている
- 想いを寄せる恋人に送ったラブレター
歌の情景
この歌は、禁断の恋の相手に「誰にも知られないように君に会いたい」と送った歌です。
想いを寄せる女性に、「さねかずら」と一緒に、この歌を添えたとされています。
会いたいのに、会えないもどかしい気持ちを見事に表現しています。
語意
【名にしおはば】その名の通りならば
【逢坂山】滋賀県大津市にある山で、男女が「逢う」の掛詞
【さねかずら】モクレン科の多年草。「さねかずら」はくるの枕詞。「さね」と「さ寝」は掛詞で寝るの意味。「さ寝」と「逢ふ」は縁語
【人に知られで】人に知られることなく
【くるよしもがな】「くる」と「来る」の掛詞。「よし」は方法・手段。 くる方法
歌の分類
【歌集】後撰和歌集
【歌仙】-
【テーマ】恋の歌
【50音】な音
歌を詠んだ人物
【作者】三条右大臣(さんじょうのうだいじん)
【性別】男性歌人
【職業】公卿(現代職業:政府役人)
【生年】873年(貞観15年)
【享年】932年9月11日(承平2年8月4日)
三条右大臣は、藤原定方(ふじわらのさだかた)の事で、住んでいる家が三条にあったことから、三条右大臣と呼ばれています。
藤原高藤の次男として生まれ、和歌や管弦などの風流な文化を大切にしました。第60代・醍醐(だいご)天皇のオジさんにもあたります。
地方の役人として活躍していましたが、醍醐天皇が即位すると出世し、これまでよりも偉い皇室の警備を担当する右近衛少将になりました。その後も順調に出世を続け、60歳で生涯を閉じました。