百人一首
【原 文】浅茅生の小野の篠原忍ぶれど あまりてなどか人の恋しき
【上の句】浅茅生の小野の篠原忍ぶれど(あさちふのをののしのはらしのふれと)
【下の句】あまりてなどか人の恋しき(あまりてなとかひとのこひしき)
【決まり字】3字決まり「あさち」
超現代語訳
うわー!どうしよう。
”しの”みたいにじっとガマンしてきたけど、君が恋しくて恋しくてたまらないよ。
歌のポイント
- あさ 字(ぢ) あまり と覚える
- 爽やかで情熱的な恋の歌
- 「の」の音でテンポよく覚える
歌の情景
この歌は、想いを寄せる女性への気持ちが溢れ出してきて、どうしてこんなにも恋しいのだろうかと情熱的な感情を歌った歌です。浅茅生・小野・篠原と野原を意味する3つ言葉が使われていることからも、爽やかな恋がイメージできます。
語意
【浅茅生の】短い草木が生えている場所 「小野」の枕詞
【小野の篠原】「小野」は野原で、「小」は接頭語 「篠原」は竹が生えている場所
【しのぶれど】恋しい気持ちをガマンしている
【あまりて】どうしてもこらえきれなくなって
【などか】なぜか どうしてか
【人の恋しき】「人」は恋の相手 「恋しき」は、「恋し」の連体形で、「か」と係り結び
歌の分類
【歌集】後撰和歌集
【歌仙】-
【テーマ】恋の歌
【50音】あ音
歌を詠んだ人物
【作者】参議等(さんぎひとし)
【性別】男性歌人
【職業】上級官人(現代職業:エリート官僚)
【生年】880年(元慶4年)
【享年】951年4月18日(天暦5年3月10日)
参議等(さんぎひとし)は、源等(みなもとのひとし)で、平安時代前期から中期のエリート官僚です。第52代・嵯峨(さが)天皇のひ孫にあたり、源希(みなもとのまれ)の子どもです。
近江(現在の滋賀県)の国の役人からスタートし、さまざまな仕事を経て朝廷の最高機関である太政官の参議まで大出世しました。歌人としてはあまり有名ではなく、勅撰集には3首入っています。72歳でこの世を去りました。