うらみわひほさぬそてたにあるものを / 相模

2字決まり
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百人一首

【原 文】恨みわび干さぬ袖だにあるものをうらみわひほさぬそてたにあるものを  恋に朽ちなむ名こそ惜しけれこひにくちなむなこそをしけれ

【上の句】恨みわび干さぬ袖だにあるものを(うらみわひほさぬそてたにあるものを)

【下の句】恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ(こひにくちなむなこそをしけれ)

【決まり字】2字決まり「うら」

超現代語訳

私、こんなにもディスられて悲しすぎるわ
叶わない恋だけでも辛いのに、さらに恋の噂まで流されたら、着物の袖は涙で濡れっぱなしよ

歌のポイント

  • 結局は、自分の評価を気にし過ぎている女の歌
  • こんなに泣いちゃったら、目が別人のような腫れそうな歌
  • 百人一首の撰者・藤原定家イチオシ人物の歌

歌の情景

この歌は、恋が叶わずに嘆き苦しむ気持ちとその叶わない恋のために噂される悲し気持ちのダブルの悲劇に襲われた様子を歌会で「恋」をテーマに詠みあげた歌です。
一心に叶わぬ恋だけを悲しむのではなく、自分の評価を気にしている所が素直に表現されています。この恋愛の相手はわかりませんが、おそらく自身の実体験に基づく歌とされています。

語意

【恨みわび】「わぶ」は、気力を失うこと 恨みが強すぎて、恨む気力を失ってしまった
【ほさぬ袖だに】涙でぬれてしまって乾かない袖。「ぬ」は打消しの助動詞
【あるものを】あるのに 「もの」は逆接の接続助詞
【恋にくちなむ】恋のためにダメになってしまう
【名こそをしけれ】名が惜しまれることだ

歌の分類

【歌集】後拾遺和歌集
【歌仙】-
【テーマ】恋の歌
【50音】う音

歌を詠んだ人物

【作者】相模(さがみ)
【性別】女性歌人
【職業】女房(現代職業:キャリアウーマン)
【生年】998年(長徳4年)頃
【享年】1061年(康平4年)頃

相模(さがみ)は、詳しいプロフィールは分かっていませんが平安時代後期の人物です。実の父は不明で、源頼光(みなもとのよりみつ)の養女と言われています。清少納言の息子である橘則長(たちばなののりなが)と結婚しますが、わりとすぐに離婚してしまいます。

次に相模(さがみ・現在の神奈川県)の国の役人である大江公資(おおえのきんすけ)と結婚しました。このことから相模と呼ばれるようになります。大江公資とも離婚し、その後、修子内親王のもとで働きだしました。

たくさんの恋愛を楽しみ64番の歌人・中納言定頼との恋愛も有名な人物です。ロマンティックな恋の歌を多く残しています。勅撰集に108首収められています。