はるのよのゆめはかりなるたまくらに / 周防内侍

3字決まり
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百人一首

【原 文】春の夜の夢ばかりなる手枕にはるのよのゆめはかりなるたまくらに  かひなく立たむ名こそをしけれかひなくたたむなこそをしけれ

【上の句】春の夜の夢ばかりなる手枕に(はるのよのゆめはかりなるたまくらに)

【下の句】かひなく立たむ名こそをしけれ(かひなくたたむなこそをしけれ)

【決まり字】3字決まり「はるの」

超現代語訳

お誘いには乗りませんワ。少し眠っただけで、変な噂が流れたらイヤだもの。

歌のポイント

  • 優雅にデートのお誘いを断った歌
  • 「春」で始まる歌の2首目
  • 「はる かひ(い)な」で覚える
  • 約40年以上にわたり天皇に仕えた超エリートが詠んだ歌

歌の情景

この歌は、春の日の月がキレイな夜の出来事を歌にして詠みあげました。
その日は、夜遅くまで、後冷泉天皇の奥さん・章子内親王の所でみんなでおしゃべりを楽しんでいました。ちょっと眠くなってきた周防内侍が「枕はないかしら?」と言ったのを聞いていた藤原忠家(ふじわらのただいえ)が「どうぞ!一緒に夜を過ごしませんか?」とさりげなく腕を差し出してきたときに、咄嗟に詠んだ歌です。
忠家の腕枕を借りたばかりに、周囲から恋人同士と噂されたらイヤだわ!と、歌い上げています。
この藤原忠家は、百人一首の撰者・藤原定家のひーおじいちゃんです。

語意

【春の夜の夢ばかりなる】春の夜にみる夢のように儚い。
【手枕に】人の腕を枕に借りること。一夜をともに過ごす。
【かひなく立たむ】何もないのに噂がたつだろう。「む」は推量の助動詞。
【名こそをしけれ】恋の噂が流れるのはイヤだ。

歌の分類

【歌集】千載和歌集
【歌仙】-
【テーマ】雑の歌
【50音】は音

歌を詠んだ人物

【作者】周防内侍(すおうのないし)
【性別】女性歌人
【職業】女房(現代職業:キャリアウーマン)
【生年】1037年(長暦元年)頃
【享年】1109年(天仁2年)~ 1111年(天永2年)

周防内侍(すおうのないし)は、本名を平仲子(たいらのちゅうし)と言い平安時代後期に活躍した人物です。父は、周防国(すおうのくに・現在の山口県)の役人・平棟仲(たいらのむねなか)です。父親の役職名から周防内侍と呼ばれています。

仕事は、第70代・後冷泉(ごれいぜい)天皇、第71代・後三条(ごさんじょう)天皇、第72代・白河(しらかわ)天皇、第73代・堀河(ほりかわ)天皇と4代の天皇に仕えたスーパーキャリアウーマンでした。夫や子どもなどのプライベートなことはよくわかっていません。
勅撰集に35首収められています。