三十六歌仙

6字決まり

あさほらけありあけのつきとみるまてに / 坂上是則

朝ぼらけ有明の月と見るまでに(あさほらけありあけのつきとみるまてに) 吉野の里に降れる白雪(よしののさとにふれるしらゆき) 坂上是則(さかのうえのこれのり)
3字決まり

ありあけのつれなくみえしわかれより / 壬生忠岑

有明のつれなく見えし別れより(ありあけのつれなくみえしわかれより) 暁ばかり憂きものはなし(あかつきはかりうきものはなし) 壬生忠岑(みぶのただみね)
4字決まり

こころあてにおらはやおらむはつしもの / 凡河内躬恒

心あてに折らばや折らむ初霜の(こころあてにおらはやおらむはつしもの) 置きまどはせる白菊の花(おきまとはせるしらきくのはな) 凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)
3字決まり

やまさとはふゆそさびしさまさりける / 源宗于朝臣

山里は冬ぞ寂しさまさりける(やまさとはふゆそさびしさまさりける) 人目も草もかれぬと思へば(ひとめもくさもかれぬとおもへは) 源宗于朝臣(みなもとのむねゆきあそん)
3字決まり

みかのはらわきてなかるるいつみかは / 中納言兼輔

みかの原わきて流るるいづみ川(みかのはらわきてなかるるいつみかは) いつ見きとてか恋しかるらむ(いつみきとてかこひしかるらむ) 中納言兼輔(ちゅうなごんかねすけ)
3字決まり

いまこむといひしはかりになかつきの / 素性法師

今来むといひしばかりに長月の(いまこむといひしはかりになかつきの) 有明の月を待ち出でつるかな(ありあけのつきをまちいてつるかな) 素性法師(そせいほうし)
4字決まり

なにはかたみしかきあしのふしのまも / 伊勢

難波潟短き蘆のふしの間も(なにはかたみしかきあしのふしのまも) 逢はでこの世を過ぐしてよとや(あはてこのよをすくしてよとや) 伊勢(いせ)
1字決まり

すみのえのきしによるなみよるさへや / 藤原敏行朝臣

住の江の岸に寄る波よるさへや(すみのえのきしによるなみよるさへや) 夢の通ひ路人目よくらむ(ゆめのかよひちひとめよくらむ) 藤原敏行朝臣(ふじわらのとしゆきあそん)
2字決まり

ちはやふるかみよもきかすたつたかは / 在原業平朝臣

ちはやぶる神代も聞かず竜田川(ちはやふるかみよもきかすたつたかは) からくれなゐに水くくるとは(からくれなゐにみつくくるとは) 在原業平朝臣(ありわらのなりひらあそん)
6字決まり

わたのはらやそしまかけてこきいてぬと / 参議篁

わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと(わたのはらやそしまかけてこきいてぬと) 人には告げよ海人の釣船(ひとにはつけよあまのつりふね) 参議篁(さんぎたかむら)