百人一首
【原 文】心あてに折らばや折らむ初霜の 置きまどはせる白菊の花
【上の句】心あてに折らばや折らむ初霜の(こころあてにおらはやおらむはつしもの)
【下の句】置きまどはせる白菊の花(おきまとはせるしらきくのはな)
【決まり字】4字決まり「こころあ」
超現代語訳
これ、わかんないよ!雪なのか白菊なのか。
だから、折っちゃおうかな?白菊を
歌のポイント
- 目の前に真っ白な景色が広がる歌
- 歌よりも名前が印象的
- 花を折るって、大胆過ぎない?と思う歌
歌の情景
この歌は、寒い日の朝に、庭に初霜が降りていてどれが白菊なのかがわからない!と、だから、白菊を折ってみて、初霜なのか白菊なのかを確かめてみようと歌っています。
真っ白な神秘的な光景を目の前に、花を折ってみようと思う大胆さを歌にしている所が面白いポイントに思える歌です。。
語意
【心あてに】あてずっぽうに
【折らばや折らん】もしも折るならば、折ってみようかな
【初霜】その年に初めて降りる霜 秋の終わりに置く霜
【おきまでわせる】霜が降りてややこしい・わからない・紛らわしい
【白菊】奈良時代に中国から輸入された花
歌の分類
【歌集】古今和歌集
【歌仙】三十六歌仙
【テーマ】秋の歌
【50音】こ音
歌を詠んだ人物
【作者】凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)
【性別】男性歌人
【職業】官人(現代職業:官僚)
【生年】859年(貞観元年)?
【享年】925年(延長3年)?
凡河内躬恒は、平安時代前期の官僚です。丹波(現在の京都・大阪・兵庫の一部)・和泉(現在の大阪)・淡路(現在の淡路島)と地方役人を歴任し、さらに宮廷歌人として大活躍しました。
歌人としてとても優れていることから、「古今集」の選者となっていて、そして三十六歌仙の一人でもあり、勅撰集には193首入っています。
「大和物語」には、優れた歌人であった事を語るエピソードとして醍醐天皇に「なぜ月を弓張というのか」と質問され、すぐに「「照る月をゆみ張としもいふことは山の端さして入(射)ればなりけり(照っている月を弓張というのは山の稜線に向かって矢を射るように、月が沈んでいくから)」と返したと残されています。「入れば」・「射れば」の掛詞を使い、その才能をアピールしました。