百人一首
【原 文】わびぬれば今はたおなじ難波なる みをつくしても逢はむとぞ思ふ
【上の句】わびぬれば今はたおなじ難波なる(わひぬれはいまはたおなしなにはなる)
【下の句】みをつくしても逢はむとぞ思ふ(みをつくしてもあはむとそおもふ)
【決まり字】2字決まり「わひ」
超現代語訳
うわっ!やっばっ!バレちゃったじゃん。
もうボクは人生捨てて、君に会いに行くよ!
歌のポイント
- あってはならない天皇の妻との不倫がバレた時に詠ん歌
- 人生捨てて、宇多天皇の妻・藤原褒子(ふじわらのほうし)に想いを捧げたラブレター
- もう開き直って、周りはシカトしようと決意した平安時代を代表するチャラ男の歌
歌の情景
この歌は、なんと第59代宇多天皇の妻・藤原褒子(ふじわらのほうし)との不倫がバレたときに、詠んだ歌です。
ただでさえ、肩身の狭い恋をしているのに、不倫がバレた今となってはもっと辛い立場になってしまったけど、から、もうこの際だから開き直ってこの人生を捨ててでも会いたい!と情熱的に褒子への想いを歌っています。
語意
【わびぬれば】辛く悩んでいるからには
【今はた同じ】今となってはもう同じこと
【難波なる】難波(現在の大阪)にある
【みをつくしても】「澪標」と「身を尽くし」の掛詞 身を滅ぼしても
【逢はむとぞ思ふ】会いたいと思う
歌の分類
【歌集】拾遺和歌集
【歌仙】-
【テーマ】恋の歌
【50音】わ音
歌を詠んだ人物
【作者】元良親王(もとよししんのう)
【性別】男性歌人
【職業】親王(現代職業:親王)
【生年】890年(寛平2年)
【享年】943年8月29日( 天慶6年7月26日)
元良親王は、平安時代前期から中期の人物で、13番の歌人・第57代陽成(ようぜい)天皇の第一皇子です。天皇家に生まれましたが、元良親王が生まれた時に既に父の陽成天皇は天皇ではなくなっていたために、皇位継承権を持てずに皇族として過ごしました。
声までもが美しいと絶賛されるイケメンで、女性が大好きなチャラ男としてもかなり有名です。平安時代に作られた「大和物語」や「今昔物語集」にも登場し、女性との恋愛エピソードが語られています。