百人一首
【原 文】ひさかたの光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ
【上の句】ひさかたの光のどけき春の日に(ひさかたのひかりのとけきはるのひに)
【下の句】しづ心なく花の散るらむ(しつこころなくはなのちるらむ)
【決まり字】2字決まり「ひさ」
超現代語訳
どーして、そんなに急いで散っちゃう?いい天気だよ 一緒に日向ぼっこしようよ!
歌のポイント
- 40過ぎるまでニートしてた男が詠んだ歌
- 「ひさかた・・・」久しぶりに会ったとかの歌ではなく「春」の歌
- とてもキレイな光景がイメージ出来て、桜の匂いが漂ってきそうな歌
- 「ひ」と「の」のリズムで覚える
歌の情景
この歌は、穏やかで温かな春の日差しの中で、散っていく桜を観て詠んだ歌です。
桜を擬人化していて、咲き誇った桜がまるで自らの意志で潔く散っていく様子を惜しみ、
なぜこんなにもいい天気なのに、そんなに急ぎ散るのかと一緒に温かい日差しを感じてのんびり日向ぼっこしようよ、と歌っています。
語意
【ひさかたの】天・空・日・月・雲など空のものに掛かる枕詞
【のどげき】のどかな 穏やかな
【しづ心なく】慌ただしく
【花の散るらむ】どうして桜の花が散るのだろう
歌の分類
【歌集】古今和歌集
【歌仙】三十六歌仙
【テーマ】春の歌
【50音】ひ音
歌を詠んだ人物
【作者】紀友則(きのとものり)
【性別】男性歌人
【職業】官人(現代職業:官僚)
【生年】845年(承和12年)
【享年】907年(延喜7年)
紀友則(きのとものり)は、平安時代の官僚で歌人です。父は皇室で働く宮内権少輔の紀有友(きのありとも)で、いとこに歌人としてあまりにも有名な35番目の歌人・紀貫之(きのつらゆき)がいます。
友則は、なんと40歳を過ぎるまで仕事に就くことなく、現代でいうニートで過ごし、歌会にはよく参加しその腕前を披露していました。三十六歌仙の一人で、紀貫之や30番の歌人・壬生岑(みぶのただみね)らと古今集を作ることになりましたが、その完成をみずに亡くなってしまいました。