百人一首
【原 文】朝ぼらけ宇治の川霧たえだえに あらはれわたる瀬々の網代木
【上の句】朝ぼらけ宇治の川霧たえだえに(あさほらけうちのかはきりたえたえに)
【下の句】あらはれわたる瀬々の網代木(あらはれわたるせせのあしろき)
【決まり字】6字決まり「あさほらけう」
超現代語訳
なんともフォトジェニックな景色だよ。
早朝の宇治川は、霧が薄くなってくると少しずつ網代木が見えてくるんだ。
歌のポイント
- 「朝ぼらけ」の2首目
- 小式部内侍にイジワルを言い、「大江山~」のきっかけを作った人物の歌
- チャラいけど、イケメンで歌人としても書道家としても優れてた人物の歌
- 「源氏物語」宇治十帖をイメージする歌
歌の情景
この歌は、空気が澄んだ冬の早朝の宇治川の景観を詠んだ歌です。凛とした清々しい光景が目に浮かんできます。当時、宇治川のほとりには、有力なエリート貴族たちが別荘を構えたエリアでした。定頼は、仕事の関係で上司の別荘に一泊し、その際に詠んだ歌とされています。
語意
【朝ぼらけ】夜が明けていくころ
【宇治の川霧】宇治川にかかっている霧
【たえだえに】とぎれとぎれに
【あらはれわたる】だんだん見えてくる 現れてくる
【瀬瀬】瀬は川の浅い場所
【網代木】鮎の稚魚を獲るための仕掛け
歌の分類
【歌集】千載和歌集
【歌仙】-
【テーマ】冬の歌
【50音】あ音
歌を詠んだ人物
【作者】権中納言定頼(ごんちゅうなごんさだより)
【性別】男性歌人
【職業】上級官人(現代職業:エリート官僚)
【生年】995年(長徳元年)
【享年】1045年2月8日(寛徳2年1月19日)
権中納言定頼(ごんちゅうなごんさだより)は、平安時代中期の官僚で、55番の歌人・大納言公任の長男として生まれました。皇室のいろんなポジションで働くエリートで、イケメンだったことから女性からの人気も高い人物でした。
しかし、少々落ち着きのない性格だったことから色んなエピソードが残っていて、60番の歌人・小式部内侍に嫌味を言った事は有名な話で、他にも暴行事件に巻き込まれたり謹慎処分を受けたりしました。防衛を管理する仕事にも就きましたが、病気のために出家し51歳で人生に幕を閉じました。
勅撰集に46首収められ、歌人としても書道家としても有名です。