百人一首
【原 文】高砂の尾の上の桜咲きにけり 外山のかすみ立たずもあらなむ
【上の句】高砂の尾の上の桜咲きにけり(たかさこのをのへのさくらさきにけり)
【下の句】外山のかすみ立たずもあらなむ(とやまのかすみたたすもあらなむ)
【決まり字】2字決まり「たか」
超現代語訳
桜が観たい!だから霞たちよ、ボクの邪魔しないでね。
歌のポイント
- 上の句「さ行」、下の句「た行」のリズムで覚える
- 神童と呼ばれた人物の歌
- 桜を楽しみたい一心で詠んだちょっと自己チューな歌
歌の情景
この歌は、藤原師通(もろみち)の家で開かれたパーティーで「遙かに山桜を望む」をテーマに詠まれた歌です。いつか観た景色を思い出し詠みあげたとされています。美しい桜を楽しみたいというストレートな気持ちが伝わる歌です。
語意
【高砂】高い山
【尾の上】山の高い所。峰。
【咲きにけり】咲いたことだ。「けり」は詠嘆の助動詞。
【外山】人里に近い山。
【立たずもあらなむ】立たないでほしい。
歌の分類
【歌集】後拾遺和歌集
【歌仙】-
【テーマ】春の歌
【50音】た音
歌を詠んだ人物
【作者】前権中納言匡房(ごんちゅうなごんまさふさ)
【性別】男性歌人
【職業】上級官人(現代職業:エリート官僚)
【生年】1041年(長久2年)
【享年】1111年12月7日(天永2年11月5日)
前中納言匡房(さきのちゅうなごんまさふさ)は、大江匡房(おおえのまさふさ)の事で、平安時代後期の人物です。父は、大江成衡(おおえのなりひら)で、59番の歌人・赤染衛門(あかぞめえもん)のひ孫にあたる人物です。
学者一家に生まれたことから、幼いころより書物を読み、漢詩の教養も兼ね備え詩を作ったことから神童と呼ばれていました。第71代・後三条(ごさんじょう)天皇、第72代・白河(しらかわ)天皇、第73代・堀河(ほりかわ)天皇に仕えます。
また兵法にも優れ、八幡太郎源義家(はちまんたろうみなもとのよしいえ)に兵法を教え、義家が、後三年の役(ごさんねんのえき)で大活躍したきっかけを作ってあげました。