百人一首
【原 文】ながからむ心も知らず黒髪の 乱れてけさはものをこそ思へ
【上の句】ながからむ心も知らず黒髪の(なかからむこころもしらすくろかみの)
【下の句】乱れてけさはものをこそ思へ(みたれてけさはものをこそおもへ)
【決まり字】3字決まり「なかか」
超現代語訳
ワタシのこと、ずっと好きでいてくれるのかしら?髪が乱れるように、心も乱れているワ。
歌のポイント
- 「ずっと愛してるよ!」って、言ってもらったのに、不安になるちょっと面倒な女心を詠んだ歌
- 美しい黒髪は、平安時代でも女性にとってとても大事だとわかる歌
- 「初めてのデート」をテーマに詠んだ百首の中で一番セクシーな歌
歌の情景
この歌は、初めてデートをしたあとの女性の気持ちをテーマに詠まれた歌です。
初めて過ごした夜は、とてもロマンティックだったわ、「ずっと愛してる」って言ってもらってすごく嬉しかった!でも、長い髪が乱れたように心も乱れて不安になった女性特有のすごく嬉しいのになんだか寂しい気持ちを歌にしています。
語意
【ながからむ心】ずっと愛してるといったあなたの心。「ながからむ」は、ながくあるらむで、髪の縁語。
【しらず】わからない。
【黒髪の乱れて】黒髪が乱れているように心が乱れている。
【今朝は】いつもの朝とは違って。あなたと別れた朝は。
【物こそ思へ】恋に悩んでいる。
歌の分類
【歌集】千載和歌集
【歌仙】-
【テーマ】恋の歌
【50音】な音
歌を詠んだ人物
【作者】待賢門院堀河(たいけんもんいんのほりかわ)
【性別】女性歌人
【職業】女房(現代職業:キャリアウーマン)
【生年】不明
【享年】不明
待賢門院堀河(たいけんもんいんのほりかわ)は、平安時代後期を生きた人物で、朝廷の祭祀を管理していた源顕仲(みなもとのあきなか)の娘です。
第74代・鳥羽(とば)天皇の奥さんの待賢門院こと藤原璋子(ふじわらのたまこ)に仕えていたことと、祖父の兄が堀河左大臣だったことから待賢門院堀河と呼ばれています。それ以外の詳しいプロフィールはわかっていませんが、子どもが小さい頃に夫とは死別しているようです。
77番の歌人・崇徳院のお気に入り歌人で、この「ながからむ~」も崇徳院が作るように命じた「久安百首(きゅうあんひゃくしゅ)」に収めされています。86番の歌人・西行法師とも仲良しだったと伝えられ、晩年は、待賢門院璋子の出家に合わせて堀河も出家しました。
勅撰集に65首、収められています。